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冬が嫌いだ。
「寒い」というより「痛い」通勤、ネコ科寅年で、孤独だった20代の冬がトラウマなのか。いや、早々に日が暮れて、暗く長い洞窟のような夜の時間が生理的に無理らしい。初秋から節分まで鬱傾向となりツラいのだが、日頃の言動からは理解されづらい。それもあって、冬は嫌いだ。

それでも少しだけ気が紛れるのが、新宿西口ビル群の夜景だ。澄んだ空気は、高層ビルの窓の光と航空障害灯の赤い光の輝きを2割増にする。麓からでも綺麗だが、やはり通勤電車の車窓からの寂し気な遠景が美しい。その時に流れる音楽は、40年前のアニメのエンディングで流行った電子音。疾走する埼京線と音楽のスピード感、電子音ならではの響きが、夜空に映えるビルと相まって、労働で(大した仕事もしていないが)疲れた目と脳に、いかにも都心らしい癒しを与えてくれる。

そんな車窓はやがて途中下車の誘惑へと代わるが、なんとか誘惑を振り切り無事地元駅に降り立つ。第二の癒しは星空だ。駅から少し離れれば東京なのに満天の星空。立ち止まって空を見上げると思わず声が出る。星座に疎くても解る、南には、冬の大三角形とオリオン座、振り返って北には、北極星を中心に北斗七星とカシオペア、その間を埋める名もなき星たち。星座観察していた小学生の頃を懐かしみ、戻ることのない時間の絶望感に襲われる。
気を取り直して夕食の準備をする匂いを楽しみつつ自転車をこぐ。玄関の灯が点いた自宅が目に入ると、少しだけ気持ちが温かくなる、色々冷え切っていても。

でもやっぱり、冬は嫌いだ。